能登半島地震の震源付近で、地殻変動を示す重力の値が地震の前後で変化していること
が、河野芳輝金大名誉教授らの現地調査で明らかになった。輪島市門前町剱地や志賀町関
野鼻を中心に、土地が隆起して地球の中心から遠ざかったため重力が下がっていた。ごく
わずかな値だが、地震による重力変化が確認できた例は珍しく、河野名誉教授らはさらに
調査を続ける。
河野名誉教授は約三十五年前から国内各地で重力測定を行っている。調査区域に長さ五
センチのくぎを一―二キロ間隔で打ち込んで目印とし、衛星利用測位システム(GPS)
と重力計を用いて標高や緯度、経度と重力を観測する。河野名誉教授によると、これまで
に重力変化が観測できた例は、火山活動が活発な伊豆半島などごく一部だという。
能登半島には二〇〇五年と〇六年にわたって測定に訪れ、数百地点のデータが残ってい
た。地震の発生を受け、四月二十五日から三日間、現地の七十八地点で再測定した。
その結果、海岸沿いの赤神、剱地、関野鼻を中心に最大〇・八ミリガル(地球の重力の
約百万分の一)の重力減少が確認された。また、GPSによる標高値の比較でも、輪島市
門前町の海岸付近を中心に、昨年の調査時に比べ四十―六十センチの隆起を観測し、重力
減少を科学的に裏付けた。穴水側では沈降も見られた。この数値は観測衛星によるレーダ
ー調査ともほぼ一致する。
河野名誉教授は「重力値の減少は地殻の隆起によるものだけではないと思われる。別の
要因や今後の影響も含めて研究を進めたい」と話しており、六月に三度目の測定に赴く予
定。今回の観測結果は、十九日に千葉県で開かれる日本地球惑星科学連合2007年大会
能登半島地震特別セッションで発表される。