人体の骨形成にかかわり骨密度に関与するタンパク質が、動脈硬化と密接な関係にある
ことを金沢医科大循環器内科学の大学院生佐藤良子さん=内灘町=が突き止めた。骨内に
あるオステオプロテゲリン(OPG)という物質で、動脈硬化との関係が解析されたのは
初めて。今後、動脈硬化の新治療法に道筋をつける研究成果と期待されており、佐藤さん
は二十六日、名古屋市で開かれる日本循環器学会総会で研究成果を発表する。
佐藤さんは、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の治療などに使われる骨密度低下予防薬
に動脈硬化を抑制する作用があるとの研究論文に着目、梶波康二同大教授(循環器内科学
)の指導で、心臓の冠動脈と、頸(けい)動脈の硬化と腕の橈(とう)骨の骨密度の関係
を臨床的に研究。女性ホルモンが低下し、動脈硬化や骨がもろくなりやすい閉経後の女性
百二症例について、CT(断層写真)や超音波などを用いて約一年半かけて調べた。
その結果、橈骨の骨密度が低いほど動脈硬化が進行しているとのデータが得られた。佐
藤さんは、両者を関連づける物質が存在すると推論し、最終的にOPGが関与する可能性
が高いことが分かった。
骨は常に新しい組織に生まれ変わる新陳代謝を繰り返し、OPGには骨組織が分解され
体内に吸収されにくくする働きがある。研究では、OPG値が高く骨密度が低いほど動脈
硬化が進み、逆にOPG値が低く骨密度が高いと、動脈硬化の症状は弱いというデータが
得られた。
佐藤さんは「OPGのみが動脈硬化などに関与するとは言い切れず、他の物質の関与が
ないか、これからも研究したい」と話しており、梶波教授も「骨と血管を関連づけるもの
が確定できれば、新しい治療法に結びつく」と今後の研究に期待を寄せている。