今日の社説

2018/05/23 01:22

介護職員不足 離職者の呼び戻しに全力を

 65歳以上の高齢者が今年4月から支払う介護保険料の月額平均は、石川県が6330円、富山県が6028円となり、制度が発足した2000年度との比較で2倍を超えた。団塊世代の全員が75歳以上となる25年度には全国平均で約7200円まで上昇する見通しという。

 高齢化の進展で介護保険料が右肩上がりに増えていくのはつらいところだが、それ以上に深刻な問題は介護職員の不足である。厚生労働省は25年度、石川県で1610人、富山県では1731人が不足するとみているが、これは現状の増員ペースが保たれていることを前提とした数字だ。

 現行の職員数との単純比較では、石川県は4942人、富山県は4610人不足しており、毎年700人前後増やしていかないと、必要数を満たせない。現状ですら職員不足が顕著な業界で、これだけの数を毎年確保していくのは容易ではあるまい。

 厚労省は15年度の介護報酬改定で、介護職員1人につき月平均1万2000円相当の収入が増える「処遇改善加算」を導入した。介護事業所は加算分を賃金として還元することが義務付けられており、常勤介護職員の平均給与月額は29万7450円にまで増えた。

 以前に比べれば待遇は改善したとはいえ、全産業平均の32万9600円とはまだ開きがある。できるだけ早く全産業平均程度まで引き上げるとともに、業務の効率化や省力化に務め、「低賃金、重労働」のイメージを払しょくしていく必要がある。これらは主に国の役目だろう。

 自治体が特に力を入れるべきは、離職した介護人材の呼び戻しである。石川県は、福祉の仕事マッチングサポートセンターで、離職した介護士の再就業を後押ししている。介護職の年間離職者は16・7%に達するが、この中には出産や育児などを理由に辞めた人も多い。こうした「即戦力」の人材に職場復帰してもらい、定着を促す施策を充実させたい。

 介護施設が職員不足で受け入れができなければ、介護を理由に仕事を辞める「介護離職」も増える。悪循環を止めるためにも待遇改善に全力を挙げてほしい。

米国産LNG輸入 調達の安定化をさらに

 米国産の液化天然ガス(LNG)を20年契約で輸入する東京ガスなど3社の共同事業が本格的に始まった。米国産シェールガス由来のLNGを長期契約で調達するのは初めてである。

 経済産業省が先に示した新たなエネルギー基本計画の素案は、2030年におけるLNG火力の発電割合を現計画目標と同じ27%としている。今後のエネルギー政策として、原子力発電の依存度を可能な限り低減し、再生可能エネルギーの主力電源化へ布石を打つという方向を打ち出した。

 しかし、具体的な道筋を示すのは容易ではなく、LNG火力発電は当面、日本のエネルギー計画の柱であり続ける。世界的に需要拡大が見込まれるなか、LNG調達の安定化、多様化に一層力を入れる必要がある。

 日本は世界最大のLNG輸入国で、総需要の約3割を消費している。そうした立場を生かして、LNGの取引や価格形成の拠点(ハブ)をめざすという「LNG市場戦略」を描いているが、アジアではマレーシアがLNGの輸出国から輸入国に転じるなど、LNGの需要拡大が続いている。

 中でも中国は、石炭火力のCO2排出量を減らすため、比較的クリーンなLNGの需要が急増している。今後、米国の対中貿易赤字削減のため、米国産LNGの輸入を増やすのは確実で、いずれ日本を上回るLNG輸入大国になるとみられる。こうした状況は、LNG市場での日本の価格交渉力に影響を及ぼすことになろう。

 東京ガスなどによる米国産LNGの購入予定量は年間約230万トンで、他の企業連合による輸入も控えている。日本のこれまでの主なLNG調達先はカタールやオーストラリア、東南アジアで、価格は原油の値動きに連動し、受け入れ先を限定する「仕向け地条項」に縛られる契約が多かった。

 これに対して、米国産LNGの多くは北米のガス価格に連動し、仕向け地条項もないため、購入側は需給状況に応じて転売も可能になる。こうした利点を、LNGの安定供給と企業経営の安定化に生かしてもらいたい。