今日の社説

2015/03/04 00:58

北陸の景気 新幹線効果で回復に勢いを

 北陸で企業の設備投資が増える傾向が出た。北陸財務局がまとめた北陸三県の法人企業統計調査によると、2014年10~12月期の設備投資額は前年同期に比べて52・3%増えた。伸び率は2・8%増の全国を大きく上回っている。

 設備投資は製造業を中心に増えており、医薬品などの化学や自動車関連の企業で積極的な動きがみられるという。利益は製造業も非製造業も増える傾向が出た。

 北陸に本社を置く資本金10億円以上の106社の回答をまとめてあるため、企業の規模や業種を問わずに好調とまでは言えないが、景気のけん引役を期待できる企業があることは心強い。

 北陸では生産が増加し、雇用情勢も改善している。今後は個人消費に勢いが付けば景気は上向いていくだろう。今はまだ景気の回復に勢いがないものの、北陸には新幹線開業という起爆剤がある。新幹線効果を拡大させて景気回復に勢いを付けていきたい。

 北陸の景気に力強さが欠けるのは個人消費の回復の遅れが要因になっている。そうした状況も北陸新幹線によって変わっていく可能性がある。開業後は北陸を訪れる人が増える。観光や仕事で訪れた人々の支出を生かして地域に波及効果を広げていけば、個人消費に勢いが出るとみていいだろう。

 これまで新幹線が開業した地域では移動時間の短縮に伴って消費が東京に流出し、企業が支社などの拠点を統廃合する動きもみられた。それでも新幹線がない場合と比べると、開業効果を受ける利点の方が大きい。

 金沢商工会議所が金沢市に拠点を置く県外企業を対象に昨年10月に実施した調査では、回答のあった243社のうち63%は新幹線開業後も金沢の拠点の統廃合などを予定していなかった。金沢に設けた拠点に変化がある場合では「拡充する」との回答が86・7%を占めていた。県外企業も新幹線開業で北陸にビジネスチャンスが増えるとみている様子がうかがえる。

 北陸新幹線の開業後は人の動きが活発になり、地域に活力が出てくるだろう。その好機に賃上げが拡大していくと、経済に好循環が広がる展開を期待できる。

政治資金問題 規正法の不備たださねば

 辞任した西川公也前農相に端を発した政治資金問題が、安倍晋三首相や岡田克也民主党代表らにも波及し、際限のない広がりをみせてきたのは極めて深刻な状況である。多くは補助金交付企業からの献金だが、首相までもが「(補助金は)知らなかった」と弁明するに至っては、問題の根深さを思わざるを得ない。

 「知らない」「返金した」と正当化するケースがまかり通れば、政治資金規正法は骨抜きになり、国民の政治への信頼を損ねるだけである。法の不備が明らかになった以上、与野党は責任追及に終始せず、再発防止へ向けた制度の見直しにも踏み込んでほしい。

 政治資金規正法は、国から補助金を受けた企業は例外規定の「試験研究」「災害復旧」などを除き、交付決定から1年間は政治献金することを禁じている。税金である補助金などが政治家に環流するのを防ぐためである。

 にもかかわらず、補助金を受けた企業からの寄付がこれだけ相次いでいるのは、法の趣旨をゆがめる事態である。これらが「氷山の一角」との疑念を持たれれば法自体の信頼も揺らぎかねない。

 閣僚が「知らなかった」と口をそろえるのは、補助金交付の事実を知らなければ、刑罰に問われないからである。もっと言えば、仮に知っていても、知らなかったと押し通せば違法ではなくなる。

 法の趣旨が徹底されない背景にそんな逃げ道があるとすれば、制度的にふさぐほかないだろう。

 寄付の出し手である企業、団体には、補助金交付の段階で献金禁止を周知する。それでも献金した場合は補助金を返還させるなど新たな規制措置も考えられよう。

 受け手の「知らなかった」を免罪符にしないために、補助金交付企業を一括してデータベース化し、突き合わせしやすい仕組みを構築できないだろうか。どんな手法が現実的に望ましいのか、与野党で議論を深める必要がある。

 過去の不祥事をみても、企業・団体献金は見返りを求める性格を帯びやすい。ルールを守るための厳格な運用が伴わなければ、規正法の信頼は高まらないだろう。