今日の社説

2018/01/20 00:54

新幹線時代の空港 敦賀開業に向け需要定着を

 小松空港の羽田便は、今年の夏ダイヤでも2社で計10往復の運航数が維持されることになった。夏ダイヤに切り替わる3月25日から、日航は現行通り1日に6往復、全日空は1日4往復の運航を続ける。

 3月には競合相手の北陸新幹線が開業4年目に入る。新潟や仙台の羽田便が新幹線開業後に廃止されたことを考えると、小松-羽田便の健闘ぶりは注目できる。日航が見通したように「全国でも珍しい新幹線との共存共栄モデル」になってきたとみてもいいだろう。

 能登空港の羽田便も昨年7~12月の搭乗率が過去10年間で最高となった。北陸新幹線の開業後は一時、需要が流れたものの、食のツアーに人気が出て首都圏の利用者が増えている。

 今のところ羽田便は順調に見えるが、油断はできない。特に小松空港では2023年春に北陸新幹線が敦賀まで開業すると、影響が出るのは避けられないだろう。敦賀開業に向けて今の需要を定着させる取り組みが求められる。

 小松-羽田便の運航数が維持されるのはビジネス利用の回復に加えて、定期便の空港がない福井県の需要も貢献している。新幹線の敦賀開業で福井の利用動向がどう変化するのかは気掛かりであるが、期待できる調査結果もある。

 金大の研究グループが昨年9月に小松空港で福井県民を対象に敦賀開業後の首都圏への移動手段を調べたところ、398人の回答で最も多かったのは車で福井から小松空港に行って羽田便に乗るルートであった。

 現在、小松-羽田便を使って福井と東京を行き来する人は、新幹線が福井まで延びても空路を選ぶ傾向があることをうかがわせる調査である。小松の羽田便は利便性を上げていけば需要を維持できる可能性があると受け止めたい。

 小松空港では年が明けてからアゼルバイジャンの貨物便が定期運航に入り、台北便に台湾の格安航空会社(LCC)が加わった。LCCの就航式で福井県の副知事が福井でも利用を促す姿勢を示したのは心強い。福井県の「小松は地元の空港」という位置付けも生かして、新幹線時代の空港の活路を切り開いていきたい。

五輪の南北対話 政治利用と言われぬよう

 韓国と北朝鮮による次官級会談で、平昌(ピョンチャン)五輪での合同入場行進やアイスホッケー女子の合同チーム結成に加え、北朝鮮で共催の文化行事や南北選手の合同訓練を行うことが決まった。

 五輪を機に融和ムードを盛り上げたい思いは分かるが、韓国と北朝鮮双方から五輪を政治利用する意図が透けて見え、危うさを感じる。大会直前に合同チームをつくればむしろ弱体化するだけでなく、韓国選手の出場機会をも奪う。自国選手を犠牲にして名ばかりの合同チームをつくることには韓国内でも批判が強い。

 また、金正恩朝鮮労働党委員長の肝いりで造成されたスキー場での合同訓練は、五輪に出場しない韓国人スキー選手が1人参加するだけで、中身を伴わない「政治ショー」にほかならない。

 合同チームや合同訓練の開催などはいずれも韓国側から提案された。文在寅大統領は、本気で南北対話の進展を核問題解決への糸口にしたいと考えているのだろうか。韓国政府と与党は「新デタント(緊張緩和)時代の到来」と持ち上げているが、そんな甘い認識では北朝鮮につけ込まれかねない。北朝鮮にとって融和ムードの演出は、核・ミサイル開発の「時間稼ぎ」に過ぎず、南北対話に幻想を抱くべきではない。

 北朝鮮は、平昌五輪を政治宣伝の場に最大限利用しようとするだろう。国連安保理の制裁で孤立する現状を打破する手段として、最も御しやすい韓国に140人規模の楽団や230人の応援団を送り込む。「ほほ笑み外交」で韓国内の親北派を増やし、米韓同盟にくさびを打ち込もうとする狙いが露骨である。

 北朝鮮は、五輪閉会後に行われる米韓合同軍事演習の中止を求めた。これからも演習中止を迫り、さまざまなカードを切ってくるはずである。南北対話をいくら続けても、北朝鮮は核・ミサイル開発を諦めないだろう。

 韓国は軍事演習の継続など、安全保障に関わる問題には一切譲歩せず、国際社会全体で北朝鮮への圧力を高めていく道を踏み外さないようにしてほしい。