今日の社説

2017/06/26 01:42

教員の働き方改革 主役は児童生徒を前提に

 文部科学省は教員の長時間勤務解消に取り組む。おろそかになっているとの指摘がある勤務時間管理の改善などについて、松野博一文科相が中央教育審議会に検討を諮問した。

 北陸を含めて教員の勤務実態は深刻になっているとされる。文科省の2016年度の調査では小学校で約3割、中学校で約6割の教員が「過労死ライン」の目安とされる月80時間超に相当する時間外勤務を行っていた。

 石川県教委の調査では、4月に全日制の県立高校で教員の4人に1人が過労死ラインを上回って勤務していたことが分かった。部活動が盛んになる5月は、時間外勤務が月80時間超の教員が全日制で全体の3割近くに増えている。

 教員には情熱と努力が期待されている。とはいえ、長時間勤務が慢性化する実態は看過できず、教員の「働き方改革」は急がなければならない。その際に確認してほしいのは、学校の主役は児童と生徒であるという原点である。

 長時間勤務の是正は、心身の健康を維持するために欠かせない。同時に、教員が情熱と誇りを持って教育に集中できる環境を整える意味も大きい。児童生徒と向き合う時間を取りにくい実態を改善するためにも、学校の主役が児童生徒であることを前提にして働き方を改革する視点がほしい。

 文科相の諮問書は「主体的・対話的で深い学び」を掲げる次期学習指導要領を確実に実施するため、授業のほかに生徒指導や部活動などで忙しい教員の役割を見直し、勤務環境を整備する必要があるとしている。

 中教審では、勤務時間の管理方法や教員が担う業務の選別と効率向上、学校の運営体制などが議論の対象になるとみられる。書類の作成が多忙化の一因と考える教員が少なくないことなど、現場の実情をよく把握した上で対策を考えてもらいたい。

 教員が能力を高めるためには研修に参加することも必要になる。部活動が生徒の成長に果たす役割も大きい。改善を進める際には教員の意欲をそがないことに留意してほしい。抜本的な対策を講じるためには教職員定数の拡充を視野に入れていく必要もある。

航空機の国産化 技術の総合力と戦略を

 世界最大級の航空見本市「パリ国際航空ショー」に、三菱航空機が開発している初の国産ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)と、川崎重工業が防衛省と開発した純国産の哨戒機P1の実機が展示された。MRJは初号機の納入が当初計画より大幅に遅れているが、敗戦で解体された日本の航空機産業が復活の歩を進めている姿を世界に印象づけたといえる。

 三菱航空機の親会社・三菱重工業は、直接指揮でMRJの開発・生産に力を入れる一方、IHIなどと共に国産初のステルス戦闘機の開発にも取り組んでおり、昨年4月、試作機の飛行に成功している。ステルス戦闘機の実用化は高度な技術力と膨大な資金を必要とするが、その壁を乗り越えて国産化を実現してもらいたい。

 ステルス戦闘機は、敵のレーダーに探知されにくいことが最大の特長で、機体の形状や特殊素材でレーダー波の反射を妨げる工夫が施されている。既に実戦配備している米国を追いかけて、ロシアや中国などもステルス機の開発を進めている。日本は、レーダーに映りにくい炭素繊維の電波吸収材を採用しており、技術的な強みとなっているが、軽量で強力なエンジン開発を含め、実戦に耐えるステルス戦闘機の開発は、その国の技術の総合力が試される。

 また、試作機の製造コストが約400億円だったのに対し、実用機の開発は数千億円の経費がかかるとされ、政府は実用機をすべて国内開発にするか、国際共同開発にするかの判断を来年度までに行う方針という。その点で、中長期の産業戦略と安全保障戦略が問われることにもなる。

 国産ステルス戦闘機は次世代機で、防衛省は今年度末からF35A最新鋭ステルス戦闘機を順次、航空自衛隊に配備する。同機は米英豪など9カ国の共同開発で、日本は開発に加わらなかったが、防衛省調達機の最終組み立ては、一部日本製部品を用いて三菱重工が行うことになっており、先ごろその初号機が公開された。F35の組み立ては、国産戦闘機開発の技術力を高める機会ともなる。