きょうの社説 2014年9月3日

◎北陸の企業動向 先行き楽観できないのでは
 北陸財務局が発表した法人企業統計調査では、4〜6月期の企業の業績が前年同期を上 回る傾向が出た。全国の調査では設備投資の勢いが鈍っていたが、北陸では設備投資額も前年同期を大きく上回っている。

 北陸三県の主要企業の設備投資額は4〜6月期に前年同期の2・4倍を超える約717 億円となった。売上高は前年同期より12%以上増え、経常利益は前年同期と比べて42%も多くなっていた。

 消費税の増税後は駆け込み需要の反動減が出ているが、北陸の法人企業統計を見ると、 景気は回復基調にあるように映る。来年3月の北陸新幹線開業に向けて歓迎できる傾向であるが、現在も基調に変化は出ていないのだろうか。

 北陸の法人企業統計で発表された結果は金融、保険業を除くと資本金10億円以上の1 08社の動向を集計したものである。規模が大きい企業は好調であっても、北陸の大勢を占める中小や小規模の企業では業績が上向いていないところも少なくない。増税後は消費の戻りが遅れており、景気の先行きは決して楽観できないのが実態ではないか。

 日本経済全体を見ると心配な兆しが出ている。財務省が発表した法人企業統計によると 、4〜6月期の設備投資額は5四半期連続で前年同期よりプラスになったものの、増加率は1〜3月期より鈍化した。売上高も前年同期比で増収を確保したが、伸び率は下がっていた。

 4〜6月期は在庫が増えたことも注意を要するだろう。需要が戻らないために意図しな い在庫が増えているとしたら、生産の抑制をもたらす可能性もある。北陸でも4〜6月期の在庫は前期より増えており、背景が気掛かりである。

 日銀や政策投資銀などの調査では、2014年度は企業が設備投資を増やす見通しが出 ていた。しかし、増税後は駆け込み需要の反動減が大きく、企業の強気がこの先も維持されるのかが気になる。

 今後、個人消費に加えて設備投資の勢いも鈍ると、景気回復の足取りはおぼつかなくな る。政府も日銀も経済が「緩やかな回復基調」を続けているのかどうかを慎重に見極めてもらいたい。

◎道路の無電柱化 防災面からテコ入れを
 国土交通省は来年度から、緊急輸送道路で電柱を新たに設置するのを禁止する方針を固 めた。地震などで電柱が倒壊し、緊急車両の通行や救援物資の輸送の妨げになる事態を回避するためである。電線を地下に通す無電柱化事業は費用が高く、欧州やアジアの主要都市に比べて大幅に遅れている。防災の観点からテコ入れを図りたい。

 道路の無電柱化事業は、1986年度から本格的に進められている。全国10ブロック ごとに関係機関による協議会がつくられ、数次にわたって推進計画が策定されているが、国交省によると、2012年度の無電柱化率は、市街地の幹線道路で15%にとどまる。高速道路を除く緊急輸送道路の無電柱化率は8%に過ぎない。

 国、自治体の財政状況の厳しさや、道路管理者・電線管理者・地元住民の調整の難しさ などが原因に挙げられる。国の直轄国道における電線共同溝予算をみると、2004年度の900億円をピークに減少の一途をたどり、12年度で285億円という状況である。

 12年に閣議決定された社会資本整備重点計画は、市街地幹線道路の無電柱化率を16 年度末までに18%へ引き上げる目標を掲げているが、予算の減少に歯止めをかけないと、目標達成はおぼつかないのではないか。

 無電柱化が進む一方、土地区画整理事業などで電柱の総数は増加するという事情もある 。電柱の新設を禁止する緊急輸送道路の区域を指定する国交省方針は、こうした状況に対応して、地域の防災機能を高める狙いである。

 無電柱化の課題として、用地の使用や地上機器の設置などで住民の理解を得にくいこと も指摘される。無電柱化の目的は、安全で快適な通行空間の確保、防災機能の強化、景観の向上と観光振興、情報通信網の安定など、さまざまである。が、無電柱化の効果やメリットが住民に直接見えないことも影響しているとみられ、住民理解を深める広報活動がさらに求められている。財政面では、コスト縮減のため、工法に一段と工夫を凝らす必要もあろう。