今日の社説

2016/12/10 02:11

教育機会確保法 不登校の子と親の支えに

 不登校の児童生徒が増えている。石川県内の公立小学校では不登校の児童が2015年度に322人に増え、2年連続で過去最多となった。中学校では932人が不登校とされた。全国では12万人を超えている。

 不登校になったことで追い詰められ、孤立感を深めている子と親は少なくない。対策を急ぐ必要があるときに、不登校の児童生徒の支援を目的とする教育機会確保法が成立したのは注目できる。

 この法律は学校以外の場での多様な学習活動の重要性を認め、国と自治体が不登校の児童生徒を支えることを初めて明記した。無理な学校復帰が負担をもたらす場合もあることから、学校を休む必要性を認め、夜間中学の設置促進を盛り込んだのも画期的と言える。法制定が不登校の児童生徒と親の支えになることを期待したい。

 県教委によると、不登校が長期化するケースが増えている。学校に行けないことで苦しむ子どもと、途方に暮れる親がたくさんいても、公的な支援制度が不十分な現状は放置できない。与野党の議員が12年かけて成立させた教育機会確保法は制度設計や運用面の詰めが残っているものの、支援の法的根拠ができた意味は大きい。

 安倍晋三首相は1月の施政方針演説で、いじめや発達障害など、さまざまな事情で不登校になった子どもたちのために「自信を持って学んでいける環境を整える」と述べた。政府は首相の意向と法の趣旨をしっかり受け止めて、自治体とともに支援策を整えてもらいたい。

 立法に動いた議員連盟は当初、フリースクールなどでの学習も義務教育と同等に扱う制度を検討したが、「不登校を助長する」といった反対論が根強くあり、見送りとなった。保護者の中からも法案に反対する意見や疑問が出た。

 懸念はあるだろうが、現行の義務教育制度のもとで不登校が増えている事実は重い。大事なのは学校に行けない子どもの権利を認め、学習と自立を支える施策を具体化することだろう。教育機会確保法は施行から3年後の見直しを求めている。立法の過程で出た指摘や施行後の課題を検討し、実効性を高める努力を重ねてほしい。

朴大統領弾劾 東アジア不安定化に懸念

 韓国国会で大統領の弾劾訴追案が可決され、朴槿恵(パククネ)大統領の職務停止が決まった。黄教安(ファンギョアン)首相が権限代行を引き受けるが、憲法裁判所での弾劾審議は最短で2カ月、最長で6カ月かかる見通しである。国家元首の不在が長期に及べば、北朝鮮が新たな挑発に乗り出すことも想定され、政情不安が東アジア全体に及ぶ懸念が高まる。

 北朝鮮による9月の核実験を受け、国連安全保障理事会が新たな対北朝鮮制裁決議を採択し、日米韓3カ国はこれから独自の制裁を行う。たとえ韓国の国政空転が長引いても、制裁を確実に履行していく必要がある。日米韓が北朝鮮対応で連携を深め、隙を見せないようにしてほしい。

 先月、日本と韓国は防衛情報の共有を目指す「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を締結した。北朝鮮の核・ミサイル開発や軍事挑発などに関する高度な情報交換が可能になる。これを有効に機能させ、北朝鮮の挑発を封じ込めていきたい。

 朴大統領の弾劾により、年内に日本で開催予定だった日中韓首脳会談の開催は難しくなった。日韓の懸案事項は、当面先送りにならざるを得ない。

 気掛かりなのは、韓国の次期政権が対北朝鮮政策でどのような方針を打ち出すのか、判然としないことである。次期大統領がかつての金大中(キムデジュン)氏や盧武鉉(ノムヒョン)氏のように、北朝鮮に対し「融和政策」に転じれば、日米韓の安全保障の枠組みは弱体化しかねない。慰安婦像の撤去を含めた昨年12月の日韓合意の履行に暗雲が漂い、軍事情報包括保護協定の存続も危うくなる。

 現在、最有力とされる最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)元代表は盧大統領時代に秘書室長を務め、竹島に上陸するなど「反日色」が強い人物といわれる。与党系唯一の有力候補とされるのは、今月末で国連事務総長の任期を終える潘基文(パンキムン)氏だが、国政介入事件の影響で与党セヌリ党とともに支持率が低下している。

 韓国が親北色を強めれば日米韓の協力に悪影響が出かねず、東アジア情勢も不安定化しかねない。