今日の社説

2017/04/28 02:07

北陸の景気判断 個人消費、住宅建設に明るさ

 日銀は27日の金融政策決定会合で景気判断を「緩やかな拡大に転じつつある」に引き上げた。今月発表した「地域経済報告(さくらリポート)」では、全国9地域のうち北陸の景気判断だけを上方修正していたが、北陸が先行してきた景気回復が全国に広がったのは喜ばしい。

 日銀が9年ぶりに「拡大」の表現を用いたのは、生産や輸出が好調だからだろう。

 北陸三県の景気については、北陸財務局が26日、22カ月連続で「回復している」に据え置いた。個人消費が4カ月連続で回復し、持続性が出てきたのは心強い。

 個人消費は前回1月の調査で「回復が緩やかになっている」から「回復している」に上方修正された。2月の百貨店・スーパー販売は、衣料品が不振だった半面、高額商品が動いた。コンビニ、ドラッグストアの販売も堅調だ。3月の新車販売台数は、軽乗用車が前年割れしたものの、普通乗用車、小型乗用車は前年を上回った。

 新設住宅着工戸数は1月が前年同月比31・8%増(全国12・8%増)、2月は同じく21・0%増(全国2・6%減)と、全国平均を大きく上回っている。マイナス金利の追い風で、新たに土地を購入して建設する割合が増え、住宅取得に関する贈与の非課税制度を利用する若年層が目立つ。住宅市場の回復は個人消費の拡大要因であり、明るい兆しといえよう。

 北陸新幹線の開業で、金沢市や富山市などで観光客の増加を見越した商業施設の増設やリニューアルが相次いだ。こうした設備投資が、地元客による消費の活発化という形で、個人消費を押し上げている点も見逃せない。

 北陸は、海外向けの電子部品・デバイスや半導体製造装置を中心に企業の生産が活発で、地域経済のけん引役になってきた。ここに個人消費が加わってきたのは好ましい変化である。

 ただ、全国を見渡すと、個人消費の伸びはまだまだ弱い。日銀は17年度の消費者物価(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを従来予想の1・5%から1・4%に下方修正した。個人消費の拡大が全国に広がってくれば、景気の足腰はもっと強くなるだろう。

中国の国産空母 揺らぐ東アジアの秩序

 中国が遼寧省大連で建造していた初の国産空母が進水した。「海洋強国」の建設にまい進する習近平指導部の軍事戦略を象徴するものである。中国は2隻目の国産空母を上海で建造しているほか、原子力空母の建造も計画しているという。

 北朝鮮の核ミサイルは「新たな段階の脅威」へと進展したが、中国の海軍力も空母建設が計画通り進めば新たな次元に達し、東アジアの安全保障秩序が大きく変わる恐れがある。国産空母を保有するまでの軍事大国となった中国は、予算や装備に関する秘密主義をまず改めなければなるまい。

 中国は2015年国防白書で、従来の陸軍偏重を見直し、海軍を重視する戦略を明確にした。海軍の基本戦略も、伝統的な「近海防御」から「近海防御と遠海防御の融合」へと転換した。米軍に対抗して西太平洋やインド洋への影響力を拡大する狙いであり、そうした戦略目標の実現に欠かせないのが空母艦隊である。

 大連で建造した空母の排水量は約5万トンで、旧ソ連製空母を改修した「遼寧」(約6万7千トン)より小さいものの、搭載できる戦闘機数は遼寧を上回る。試験航行を経て20年ごろの就役をめざしているという。12年に配備された遼寧は訓練用で、進水した国産空母を加えても、米軍にはまだまだ及ばない。しかし、防衛省のシンクタンク防衛研究所は昨年発表した報告書で、中国は海洋権益の確保や領土問題で優位を確立するため、海、空軍の広範な活動能力の向上を図っていると分析し、東アジアの既存の安保秩序が一変する可能性を指摘している。

 米軍のカール・ビンソンを核とする空母打撃群には、北朝鮮に対する圧力だけでなく、海軍力の彼我の差を中国に知らしめ、南シナ海や東シナ海における中国の独善的行動を抑止する効果も期待したい。それでも、中国が覇権主義的な海洋強国路線を変えることは考えにくく、国産空母の建造や潜水艦発射弾道ミサイルなどの増強により、アジア太平洋地域での米中のせめぎ合いが一層激しくなる事態を想定せざるを得ない。