きょうの社説 2014年7月26日

◎地方創生本部発足へ 縦割り排除し大胆な施策を
 政府は人口減少対策や地域活性化に取り組む地方創生本部の準備室を設けた。「まち・ ひと・しごと創生本部」の名称で体制が整うのは9月になるが、正式な発足の前から施策の検討を急ぐのは、政府の強い意欲の表れと受け止めたい。

 地方では人口減少に対する危機感が強まっている。石川県の能登総合開発促進協議会で は少子化と人口減少が進む能登の現状を懸念する意見が出され、谷本正憲知事は人口問題で部局横断型のチームをつくる方針を示した。富山県や福井県では部局横断の検討が始まっている。まち・ひと・しごと創生本部は地方の創意工夫を後押ししてもらいたい。

 人口減少と少子化の対策や地方活性化では、さまざまな施策が展開されてきた。しかし 、北陸をはじめとする地方の現状を見ると、成果が出ているとは言い難い。地方に活力を生み、人口減少に歯止めをかけるためには政府の総力を結集する必要がある。創生本部は省庁の縦割り行政を排除して大胆な施策を展開してほしい。

 創生本部では安倍晋三首相が本部長に就き、担当相をはじめとして全閣僚が加わる。秋 の臨時国会に地方活性化の法案を出し、長期ビジョンと2020年までの総合戦略をまとめるという。

 地方に活力を生み、人口の急減を止めるには、何より若者が地方から出生率の低い東京 に流出するのを抑えなければならない。地方に魅力的な職場を増やす必要があり、東京に集中する企業に移転を促す取り組みが求められる。人も企業も東京を離れるのは簡単なことではない。政府と自治体が思い切った手を打つとともに、国民が危機感を共有しなければ動かない課題である。

 従来の施策や事業を焼き直すだけでは一極集中の流れは変わらないだろう。省庁の壁と 縦割りの発想を超える斬新なアイデアで施策をつくり、十分な予算を確保して強力に展開しなければ成果を期待できない。省庁がばらばらに施策に取り組む非効率な状態を繰り返している余裕はない。政府が戦略を一本化し、一丸となって難問に取り組めるように首相は指導力を発揮してもらいたい。

◎朴氏・都知事会談 残念な「歴史」の硬直姿勢
 韓国の朴槿恵大統領が舛添要一東京都知事と会談した。韓国の大統領が外国の自治体首 長と会談するのは異例のことで、冷却化した日韓関係の改善に向けて、柔軟な姿勢に転じる兆しではないかとの期待感も抱かせたが、会談の冒頭に「正しい歴史認識の共有」を求め、歴史問題での強硬姿勢に変化がないことをあらためて示した。

 韓国内では日韓関係の冷え込みが長期化し、対韓感情の悪化で日本人観光客が激減して いることなどから、首脳外交をかたくなに拒む、朴氏の硬直した対日外交を問題視する声も出ている。

 このため朴氏は、関係悪化の原因は「日本の一部政治家の言動」にあるとし、政府間以 外では柔軟に改善を図る姿勢を、舛添氏との会談でアピールする狙いがあったのかもしれない。が、歴史問題の解決を優先する姿勢を崩す気配はなく、関係改善の糸口をつかむことはなお難しい。歴史問題で日本側から譲歩を引き出さないとメンツを保てず、国民の支持を失うという思いも強いのであろう。

 舛添氏は、4月の旅客船沈没事故に哀悼の意を表明し、「日韓関係を改善したい」との 安倍晋三首相のメッセージを朴氏に伝えた。これに対して、朴氏は「歴史認識をしっかりすることが親善の第一歩」と述べたという。しかし、歴史というものは、それぞれの国によって認識や解釈に違いがあり、単純な善悪二元論で片付けることができないことを、互いに認めなければなるまい。そのことこそが親善の第一歩ではないか。

 韓国側の「正しい歴史認識」要求は、自国の一方的な歴史観の押し付けと言わざるを得 ない面がある。朴氏は「従軍慰安婦は普遍的な人権問題で、真摯(しんし)な態度での努力で解決できる」と述べたが、この問題については、例えば「旧日本軍が性奴隷として強制連行した」といった不当な主張を国際社会に政治宣伝していることは日本として容認しがたい。

 歴史認識や解釈の違いによる対立を政治問題化させずにコントロールする。それが外交 の要諦であることを互いに認識したい。