きょうの社説 2014年4月18日

◎夏の電力需給 景気の足かせにならぬよう
 北陸電力は今年夏の電力需給について、供給に支障がないとの見通しを示した。志賀原 発が停止しているため、火力発電所の点検時期を調整するなどして供給力を確保する。

 それでも、猛暑になると需給バランスは余裕の幅が狭まる見通しだ。北電は大型の火力 発電所がトラブルで停止すると、厳しい需給状況になるとみている。

 昨年の夏は、企業や家庭に節電が定着したことに加え、生産活動が回復の途上にあった ため、北電の需給はおおむね安定していた。今年は消費税増税の影響が拡大しなければ、全国的に生産水準は上向いていくとみられ、電力需要も増える可能性がある。

 今はデフレから脱却し、経済に活力が戻るかどうかの正念場である。電力の供給が景気 回復の足かせにならないように、北電をはじめ各電力会社は連携して安定供給を実現してもらいたい。

 北電の見通しでは、需要が大きくなる8月でも気温が平年並みであれば、供給予備率は 安定供給の目安となる8%を確保できるという。気温が35度を超える猛暑となった2010年並みになると、供給予備率は4・1%まで下がる。いずれの見通しも、需給が厳しい関西、九州両電力に応援で送電することを織り込んでいる。

 気掛かりなのは関電、九電とも東京電力から送電を受けて、安定供給をぎりぎりで維持 することである。電気の周波数が違う東日本からの融通を前提にするのは、綱渡りの状況に近い。猛暑の時に大型の火力発電所が止まると、途端に需給が厳しくなる可能性もある。

 昨年8月には関電の火力発電所にトラブルが発生し、北電など4社が急きょ、送電した 日があった。当時は北電も七尾大田火力1号機が停止しており、余力に乏しい中で電力を融通した。今夏は緊急事態がないように電力会社はトラブルの防止に努めてもらいたい。

 関電と九電の需給が厳しいのは、原発の依存度が高いからである。関西や九州の企業に は電力コストの上昇に対する懸念が広がっている。電力供給を安定させるために、安全が確認できた原発を再稼働させるのはやむを得ない。

◎子どもの貧困対策 実効性ある支援に工夫を
 「子どもの貧困対策推進法」が今年1月に施行されたのを受け、内閣府は有識者らによ る対策検討会をスタートさせた。当事者や支援者の声も聞いて検討会の意見をまとめ、政府の施策大綱に反映させる。

 子どもの貧困対策推進法は、生活困窮家庭の子どもの将来が、生まれ育った環境に左右 されることがないよう支援し、教育機会の均等を図ることを目指している。生活難のため、子どもが高校や大学に進学できないと職業選択も不利になり、収入を満足に得られないことが多い。こうした教育機会の不平等による「貧困の連鎖」を断つことが目的である。

 同法は、国と地方自治体に、子どものための貧困対策を実施する責務を課し、国民には それに協力する努力を求めている。国、自治体の財政はともに厳しい状況にあるが、せっかくの法律が理念倒れにならないよう、実効性のある支援策を考えてほしい。

 石川県は今年度、高校生向けに返還不要の「教育費負担軽減奨学金」を新たに設けた。 国や自治体の奨学金制度のほとんどは、将来返済しなければならない貸与型であり、関係者の間では返済義務のない給付型奨学金の創設を望む声が出ている。石川県の新たな奨学金は、子ども貧困対策推進法の趣旨にかなうものである。

 日本の子どもの貧困率は、2009年で15・7%という。標準的な可処分所得の半分 (09年では4人家族で年250万円程度)を下回る家庭の子どもの割合が、ほぼ6人に1人ということである。ひとり親世帯の貧困率は50%を超える厳しさであり、政府は生活支援や就学支援、親の職業訓練などの対策を検討している。

 貧困対策推進法の理念を先取りした自治体の取り組みでは、生活保護世帯の子どものた め、無料の学習教室を開設している埼玉県の例が知られる。特別養護老人ホームが場所を提供し、教員OBや学生ボランティアが指導に当たっている。10年に始めたこうした学習教室は同県に30カ所以上あるという。各自治体は地域事情に応じた施策に工夫してほしい。