今日の社説

2016/02/10 01:30

長期金利マイナス リスク回避が行き過ぎに

 世界経済の悪化懸念が強まり、金融市場でリスク回避の動きが急加速している。長期金利の指標となる10年物国債の市場利回りが一時、史上初めてマイナスをつけたのをはじめ、ドルの対円相場が1ドル=114円台後半に急落した。運用資金が安全資産とされる日本国債と日本円に集中した結果である。

 この流れを受けて東京株式市場の日経平均株価は前日比900円以上も値を下げ、1万6千円割れ寸前まで落ち込んだ。リスクオフの動きが日銀のマイナス金利導入という想定外のサプライズで悪い方へ増幅され、パニック的な売りにつながった印象である。

 長期金利がマイナスになるということは、国債を購入して10年満期まで持ち続けても金利はおろか購入時の価格を下回って損をする状況だ。金融機関は日銀の当座預金に資金を預けて、マイナス金利を科せられるのを避けようと、やみくもに国債の購入に動いたのではないか。

 世界経済は年明け以降、不透明さを増している。中国経済の低迷に加えて、原油価格下落で産油国経済が打撃を受け、下値模索が続いている。世界経済を引っ張ってきたアメリカ経済も足元が怪しくなり、欧州では金融機関の経営不安がささやかれ始めた。

 長期金利のマイナスが物語るように、日本の銀行や生命保険会社も収益悪化が懸念されている。メガバンクは定期預金金利、ゆうちょ銀行は定期貯金などの金利引き下げに動き、国債などで運用する「MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」の販売も停止を余儀なくされた。

 金融機関をはじめ、資金運用者の間に疑心暗鬼が広がっているのだろうが、長期金利がマイナスになるような異常事態は長続きしない。行き過ぎたリスク回避の動きは必ず是正される。

 金融市場の混乱は国民の懐をも直撃しているが、住宅ローンや自動車ローンなどの金利も下がるため、マイナス要素ばかりではない。企業向け融資の金利が下がる結果、設備投資をしやすい環境が生まれている。マイナス金利政策はこの先、景気にプラスの効果を及ぼすはずである。

修学旅行の誘致 石川ファンを増やしたい

 修学旅行の行き先に石川県を選ぶ学校が増えている。県と金沢市の誘致を受けて2015年度に県外から訪れた学校の数は過去最多の19校となった。北陸新幹線で首都圏から石川に入る学校の増加が目立っている。

 修学旅行は若者に石川の魅力を実感してもらう格好の機会になる。感動が大きいと卒業後の再訪につながるだろう。県内の高等教育機関を進学先として意識する学生が多くなる可能性もある。修学旅行の誘致で石川ファンを増やし、波及効果を広げていきたい。

 15年度に修学旅行で石川県を訪れた学校の数は前年度の2倍を超える伸びをみせた。首都圏の学校は16校で、そのうち15校が北陸新幹線を利用した。新幹線開業が誘致の追い風になったのは間違いない。新幹線で東京から同じく2時間台の京都には及ばないとしても、石川県が修学旅行の行き先として定着することは期待できる。

 石川は、その京都に次ぐ学都でもある。県がまとめた15年版「石川100の指標」によると、人口10万人当たりの高等教育機関の数は京都に続いて全国で2番目に多い。学都としての石川の魅力は、もっと知られていいだろう。

 今でも石川県では、県外から進学してくる学生の数が、進学で県外に出る学生よりも多い「転入超過」の傾向が続いている。厚みのある文化の魅力や生活しやすい環境が広く認知されると、県内に進学してくる学生はさらに多くなる可能性がある。修学旅行を県内で学ぶ若者を増やす機会としても生かしていきたい。

 県によると、修学旅行で金沢を訪れた学生には、金沢商高の生徒によるガイドが好印象を与えている。南加賀ではコマツ粟津工場の見学などの産業観光に人気がある。奥能登では農業体験が関心を集め、能登町の農家民宿群「春蘭の里」では涙を流して別れを惜しむ姿がみられるという。

 旅先での出会いや交流は忘れがたい記憶になる。ものづくりの現場を見た体験は就職先の選択に影響するかもしれない。修学旅行の誘致が若者の流入につながる展開を期待したい。