今日の社説

2017/07/26 00:31

北陸に豪雨被害 土砂災害の警戒怠るまい

 日本海から延びた梅雨前線の影響で、北陸地方は25日早朝から、断続的に強い雨に見舞われた。金沢市では土砂崩れが相次ぎ、避難勧告が出たところもあった。26日から徐々に天候は回復する見通しだが、ここ数日間に大量の雨が地中に蓄積され、地盤が不安定な状態は続いている。崖地や急な斜面のある地域では、雨がやんでも警戒を怠らず、地域と行政が連携して、住民への迅速な情報伝達と避難誘導に万全を期したい。

 今月に入って県内では局地的に激しい雨が降り、能登を中心に住宅一部損壊や床下浸水も出た。25日には朝方から金沢市や加賀地方が豪雨に見舞われ、金沢市鈴見台では土砂崩れの危険性が高まり避難勧告が出された。北陸線の運転見合わせや、木が倒れて道路をふさぐ被害なども相次いだ。

 全国的にも今月は、九州北部や愛知県、さらに秋田県を中心に東北でも集中豪雨で大きな被害が出た。停滞している梅雨前線に湿った空気が流れ込み、狭いエリアで積乱雲が次々に発生して大雨を降らせたとみられる。どこでどの程度の雨が降るか予測がつきにくいだけに、私たちも最新の情報を多様なメディアを通して仕入れるとともに、地域ごとの避難場所を確認しておきたい。

 特に斜面近くに居住する人は、土砂災害への警戒が必要だ。一般人が土砂崩れの兆候をつかむのは難しいが、3年前の広島市の土砂災害で、間一髪で難を逃れた人の証言では、土砂崩れ直前に裏山からゴーっという音が聞こえ濃い土の匂いが漂ったという。政府広報オンラインなどで「山鳴りがする」「腐った土の匂いがする」「急に川の水が濁ってきた」といった前兆現象を確認するのも防災意識を高めるのに効果的だ。

 豪雨被害は、近年、限られた地域に集中する傾向があり、観測記録を更新する大規模なものも少なくない。今回も含め、豪雨で頻繁に冠水して車両が立ち往生する金沢市内の地下道について、市では道路封鎖の初動を前倒しして、立ち往生を未然に防ぐ対策に乗り出した。このように、さまざまな局面で従来の想定にこだわらない災害対応を考えていきたい。

再び辺野古提訴 法廷闘争の泥沼化は残念

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する沖縄県が、政府の進める埋め立て工事差し止めを求める訴訟を那覇地裁に起こした。安全保障政策をめぐって対立する国と沖縄県が、再び法廷闘争に入ったことは残念である。

 辺野古沿岸部の埋め立て工事では、最高裁が昨年12月、前知事の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の判断を「違法」と結論づけ、沖縄県側の敗訴が確定した。埋め立て承認をめぐる訴訟に関して、国と沖縄県は昨年3月、訴訟合戦の泥沼化を回避するため、訴訟の判決確定後はその趣旨に従って互いに協力し、誠実に対応するという福岡高裁那覇支部の和解条項を受け入れた。

 昨年の最高裁判決は、数ある知事権限の一つについての判断に過ぎないというのが沖縄県側の認識で、その立場から新たな提訴に踏み切ったということであろう。しかし、確定した判決の趣旨に従って誠実に対応することを確約した和解条項をないがしろにする対応と言わざるを得ない。

 最高裁判決を受けて、政府は4月に辺野古沖の埋め立て工事を本格化させた。これに対して沖縄県は、岩礁破砕許可が3月末に期限切れとなっているのに更新手続きを取っていないのは県の漁業調整規則に反するとして、訴訟に踏み切った。漁業権のある海域で岩礁を破壊する工事を行う場合、知事の許可を必要とするが、政府は、地元漁協が当該海域の漁業権を放棄しており、岩礁破砕許可の更新手続きは不要と主張している。

 漁業法は「漁業権を分割、または変更」するとき、都道府県知事に申請して免許を受けなければならないと規定しており、漁業権の一部放棄が、知事の免許を必要とする「漁業権の変更」に当たるかどうかも、訴訟の焦点となる。政府と沖縄県の話し合いによる打開が望めない現状では、司法の判断を待つほかない。

 在日米軍の飛行場移設をめぐって国と沖縄県が対立する状況は、米軍の抑止力を柱とする日本の安全保障政策の「弱み」と国際社会にみられる恐れもある。