きょうの社説 2014年8月1日

◎綱渡りの北電増益 現行料金で地域の下支えを
 北陸電力の2014年4〜6月期の純利益が前年同期の14倍を超える69億円となっ た。石油より安い石炭を使う発電所の稼働率が高まり、費用を抑制できたことが主な要因である。

 志賀原発が稼働していない現状では、石炭火力発電所に不具合が発生して停止すると、 途端に業績に響く。綱渡り状態の中で達成された増益ではあるが、黒字を確保できたことは心強い。電気料金の値上げ回避につながるからだ。

 電気料金が上がると、生活や産業が受ける影響は極めて大きい。北電は現行の料金を維 持して、ようやく回復の動きが出てきた地域経済を下支えしてほしい。

 福島第1原発の事故後、電力会社の業績は原発停止によって軒並み悪化し、7社が本格 的な値上げを実施した。原発を持たない沖縄電力以外の9社で本格値上げを実施していないのは、水力発電の割合が大きい北電と、原発依存度が低い中国電力だけとなった。

 今期も火力の燃料費増加が電力会社の負担になっており、北海道電力は昨年9月に続く 値上げに動いた。経済産業省に申請された家庭向け料金の値上げ率は平均で17%を超えている。認可がいらない企業向け料金は22%超の引き上げが検討されているという。

 家庭向け料金の上げ幅は経産省の審査で圧縮されるとしても、昨年の平均7%超に続く 2年連続の引き上げは消費税増税で負担が増した家計を直撃する。企業活動を冷え込ます恐れも大きい。それでも北海道電力が再値上げに踏み切るのは、業績の悪化に歯止めをかけないと企業の存続に関わるからである。

 気がかりなのは値上げの動きが他社に波及することである。関西電力は2014年4〜 6月期の純損益が290億円の赤字になり、再値上げを否定しなかった。15年度の採用計画見直しと高卒者の募集中止が地域に及ぼす影響は小さくないだろう。

 北電は業績の予想を示さなかったが、今期を通して黒字の維持を目指す姿勢をみせてい る。志賀原発の安全確保に要する費用は削ることなく、効率化できるところでコストを抑えて、地域のために現行料金を維持してもらいたい。

◎大阪府警・統計不正 事の重大さ、かみしめねば
 大阪府警が認知した犯罪のうち8万件以上を警察庁に申告せず、犯罪統計をごまかして いたことは、前代未聞の不祥事である。警察が発表する統計の内容だけでなく、警察の業務そのものに疑念や不信感を抱かせる罪深い不正と言わなければならない。警察庁は、犯罪が減ったように見せかける「偽装工作」がなぜ、どのようにして大阪府警の全署に広がったのかを検証し、公表する必要があろう。

 警察庁の犯罪統計は治安の重要な指標であり、そのデータを参考に警察官や防犯カメラ の配置など種々の防犯対策が講じられる。大阪府警では、ひったくり、路上強盗、自転車盗などの街頭犯罪が全国最悪の汚名を返上することが至上命令とされてきた。

 そのプレッシャーの中で不正がまん延していったようだが、ウソの申告で路上犯罪ワー スト地から抜け出ようとした大阪府警にとって、犯罪統計は単なる「成績表」に過ぎず、統計をとる本来の意義がないがしろにされていると言わざるを得ない。

 事件の統計不正は昨年6月に堺署で発覚し、その後、全署で行われていたことが分かっ たという。統計に計上されなかった件数は、街頭犯罪対策が本格化した2008年以降に増え、12年までの5年間で8万1300件余に達する。大阪府内の刑法犯認知件数の約1割に相当する量である。未計上の犯罪件数の約半分は自転車盗で、「盗品が戻ってくれば窃盗に数えない」といった、いい加減なルールで統計をとっていたという。

 組織的な不正指示はなかったというが、大阪府警では12年に証拠品の大量紛失が一斉 点検で明らかになり、関係者が処分されたばかりである。紛失を隠す虚偽の公文書作成や証拠隠滅事件も判明した。こうした不祥事で警察の信頼が揺らぐ中、犯罪統計の不正が暗黙のうちに平然となされていたことになる。相次ぐ不正によって、ウソ、ごまかしが大阪府警の習い性のようになっているのではないかという不信感を住民に抱かせたことを深刻に受けとめ、意識改革を徹底してもらいたい。