今日の社説

2015/01/30 00:49

上方修正の景気 賃上げと設備投資の拡大を

 財務省の全国財務局長会議で、北陸3県の景気に対する判断が昨年10月と比べて引き上げられた。北陸では鉱工業生産指数が全国平均より高い水準を維持している。有効求人倍率などの雇用の指標も上昇している。

 景気判断が上方修正されたのは全国で北陸だけである。それでも北陸の経済に好循環が大きく広がる段階には達していない。消費税増税後の需要減退がもたらした影響から脱していないのが現状だろう。需要を上向かせるためには賃上げで消費に勢いを付け、設備投資を広げていく必要がある。

 北陸財務局が景気判断を引き上げる要因となった生産面では、スマートフォン向けの電子部品や後発医薬品の生産が増えているという。すべての業種や企業で業績が上向いているわけではないが、地域経済をけん引できる企業が出ていることは心強い。今後、業績のいい企業が賃上げと設備投資の拡大に動く展開を期待したい。

 北陸には3月の新幹線開業という好材料がある。開業効果で地域に活気が生まれると、賃上げと設備投資の波及効果も一段と大きくなっていくのではないか。

 政府と経済、労働団体が昨年末に開いた政労使会議では、経済の好循環実現に向けて賃上げの必要性が確認された。下請け企業に対する取引条件の改善を図ることも合意事項に盛り込まれている。こうした取り組みは、新幹線開業の好機を迎える北陸でこそ実現してもらいたい。

 とはいえ、民間の力だけでは増税後に失速した景気に勢いを出すのは難しい。いまは財政支出によって需要の不足を補う必要がある。北陸では、個人消費が「緩やかに回復しつつある」と判断されたものの、消費者の節約志向は続いているだろう。新設住宅着工戸数は昨年10、11月に前年同月比で20%以上も減っていた。

 国費で3兆5千億円規模の経済対策には住宅の新築、改築を後押しする施策や、商品券発行などを想定した消費喚起策が盛り込まれている。経済対策の裏付けとなる2014年度補正予算の成立と執行を急いでもらいたい。効果が足りなければ、対策の追加も検討する必要がある。

火山周辺の避難対策 安全な登山環境に必須

 政府は、白山や立山・弥陀ケ原など常時観測の対象となる火山周辺のホテルやスキー場などの集客施設に、噴火に備えて客の避難計画の策定を義務づける。通常国会に提出する活動火山対策特別措置法(活火山法)改正案に盛り込む方針だ。具体的な施設は、火山ごとの防災協議会が指定するが、登山愛好者が増える中、対象エリアに含まれるか否かにかかわらず、「火山周辺」で施設を運営する側が、設置状況を考慮しながら自主的に避難誘導対策を講じることが求められる。

 対象となるのは、気象庁の常時観測対象47火山に、火山噴火予知連絡会が常時観測を提言した立山連峰の弥陀ケ原など3火山を加えた計50火山である。地元住民だけでなく、観光などで訪れた人にも適切に火山活動の情報を伝え避難誘導する体制を整えることは、火山活動の観測強化や登山届の提出の徹底などとともに、安全な登山環境づくりに直結する。

 石川県は、一昨年に岐阜、福井県と白山市、気象庁などとともに設置した白山火山防災協議会で話し合いを重ね、昨年末の会合では噴石などから登山者を守る避難施設について、室堂から岐阜側の散策路周辺にないことから、整備の必要性も指摘された。

 富山県では、4月にも弥陀ケ原が常時観測対象となることから、今年に入って長野県、立山町、長野県大町市や気象庁などで構成する火山防災協議会を発足させ、火山活動が活発化した際の避難の時期や対象地域など、技術的な課題を検討することも決めた。

 御嶽山噴火で噴石による犠牲者が相当数出たことを受けて、とりわけ宿泊施設の退避シェルターとしての役割が浮かび上がっている。登山者に噴火情報を知らせる拠点としても重要だ。

 立山町では、室堂周辺の山小屋とホテル、弥陀ヶ原周辺の宿泊施設に、観光客用のガスマスクやヘルメットの配備を検討している。施設側とすれば、こうした地元行政の取り組みとも連動した安全対策が必要となる。安全に配慮した観光地として、山麓一帯のイメージアップにもつながるだろう。