このところの急激な円高で、海外旅行に追い風が吹いている。北陸の代理店では、通貨
価値が半減し、燃油サーチャージの安い韓国行きに予約が殺到、「今がチャンス」とみる
買い物狙いの女性客を取り込んでいる。欧州やハワイ向けでも、円高還元の割安ツアーを
発売する動きが出てきた。各社は消費マインドの減退やサーチャージの高騰などで冷え込
む旅行需要を挽回(ばんかい)しようと、躍起になっている。
「これまでにない盛り上がり。一番勢いがある」
ほっこく観光(金沢市)の担当者は、韓国行き商品の好調な売れ行きに実感を込める。
今、海外旅行の中でも特に人気が高まっている行き先は、韓国だ。要因の一つは、通貨
の大幅下落にある。韓国ウォンは六日時点で一万円当たり一三万ウォン台後半と、昨秋ご
ろに比べて価値がほぼ半減している。
さらに大きな魅力となるのが、原油高騰に伴う追加運賃、燃油サーチャージの価格だ。
航空会社にもよるが、欧州では往復六万円程度かかる料金が、韓国は八千円。「海外旅行
で一万円を切るのは韓国ぐらい」(旅行代理店関係者)という。
ほっこく観光では、十月下旬に発売した、二泊三日で三万千八百円からの韓国ツアーに
予約が相次いでいる。出発日にもよるが、従来と同じプランでも円高差益で八千―一万円
は安いという。JTB中部金沢支店、阪急交通社北陸支店でも、徐々に韓国旅行の動きが
活発化してきている。
一方、欧州向けなど比較的、燃油サーチャージの高い長距離旅行でも、円高還元で需要
を喚起しようとする動きが広がっている。
JTB(東京)は、通信販売の旅行商品「旅物語」で、来年一、二月出発の欧州方面全
二十四コースの価格を一万円引き下げる。アジア・インド方面の一部コースでも一―三月
出発分を値下げする。今月下旬にも発売する年末向け商品も従来の10―15%は安くな
る見通しだ。
ハワイ五日間で燃油サーチャージ込みの十万円均一商品を発売するのは、阪急交通社(
大阪市)。旅行商品「トラピックス」で、今月十七日―来月十七日出発の十二回分が対象
となり、ランチクルーズも付く。
昨年からの急激な原油高と景気の後退で、旅行業界はこのところ厳しい環境が続いてい
た。とりわけ、燃油サーチャージの切り上げで海外旅行にブレーキが掛かり、日本政府観
光局によると、九月の出国日本人数は前年同月比9・7%減の百四十万人と、十七カ月連
続で前年を割り込んだ。小松空港発着のソウル、上海便の搭乗率も四―九月時点では前年
を下回っている。
円高の反動で日本への外国人旅行客も減っており、訪日・出国旅行者向け商品をともに
扱う代理店には「痛しかゆし」の状況だが、明るい兆しも出てきた。
ここにきて原油価格が落ち着き、年明けから航空会社の多くが燃油サーチャージを値下
げする見通しとなったのだ。「これまで我慢していた人が、せきを切ったように旅行に出
るはず」(旅行関係者)との見方もあり、各社の期待感は高まっている。