県外資本の進出が相次ぐ加賀温泉郷で、二強対決の構図が鮮明になってきた。大江戸温
泉物語(東京)は、加賀市片山津温泉で取得した旅館「大江戸温泉物語ながやま」の営業
を十八日に開始、今後、片山津以外にも進出する意向を示す。県外資本の先駆け的存在の
湯快リゾート(京都市)は、複合レジャー施設と組み合わせたプランを新たに投入し、家
族客の取り込みに動く。集客を競う二強がけん引役となり、地元では温泉地全体の活性化
へ期待感が広がっている。
ながやまをリニューアルオープンさせた大江戸温泉物語の橋本浩会長は、北國新聞社の
取材に対し、「山代、山中、粟津、片山津の四温泉地それぞれで旅館を持ち、相乗効果を
生み出したい」と述べ、加賀温泉郷での投資を加速する考えを示した。
同社は昨年末から片山津温泉で三旅館を取得しており、ながやま以外の二旅館は公園に
再整備して地域に開放する計画を持つ。また、六月に経営破たんした山代温泉の老舗旅館
「山下家」の再生にも取り組む方針を固めており、橋本氏は「顧客のニーズに対応できれ
ば必ず再生できる。温泉地全体が地盤沈下しているわけではない」と自信を見せる。
大江戸にとって空白地である山中、粟津への進出については「旅館経営の引き合いはあ
る。一年をめどに動き出す」とした。四温泉地それぞれに配置した旅館で四季ごとに新プ
ランを提案し、顧客のリピート率を高めるという。
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既に四温泉地で五つの旅館を経営する湯快リゾートは六月、宿泊と福井県坂井市の芝政
ワールドの一日券をセットにした新プランを発売した。大人一人、一泊二食付きで一万八
百円とし、「予想以上の反響」(同社営業担当)を得ている。
同社は、格安料金を武器に加賀温泉郷を席巻してきたが、今後の旅館取得については高
級路線に転換、今年一月には片山津の老舗旅館「矢田屋松濤園(しょうとうえん)」の運
営を受託した。北陸三県で十軒程度の旅館経営を計画しており、投資意欲は依然衰えてい
ない。
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大江戸は湯快リゾートについて「大先輩であり、いいところをまね、悪いところは改善
したい」とし、湯快は「競い合えば集客面で加賀温泉地に波及効果が出る」とする。
両社が競合することで、地元関係者からは「地域活性化につながる」と期待が高まって
いる。石川県が二〇〇七年に実施した四温泉地の入り込み客数は前年比約2・7%減の二
百二十三万八千人に踏みとどまり、同関係者は「能登半島地震の風評被害があった中では
健闘した」とみる。
一方で、攻勢を強める県外資本が宿泊客の取り込みを加速させれば、体力のない地場旅
館の廃業が進むという指摘もある。地元旅館関係者からは「県外資本進出で廃業旅館がな
くなり、温泉地に活気が戻れば何よりだが、地元としても誘客の努力をしなければならな
い。気付いたら県外資本ばかりとならないように存在感を出したい」との声も出ている。