北陸の金融機関で、指先の静脈パターンで本人確認する生体認証機能付きICキャッシ
ュカードを導入する動きが広がっている。手続きの面倒さや五年ごとの更新が必要という
面はあるものの、偽造や盗難カードによる犯罪防止対策の切り札として、「指先の静脈で
預金を守る」利用者が増えそうだ。
金融機関がキャッシュカードで利用している生体認証は「手のひら」と、「指先」の静
脈を対象とする二つの方式があり、導入済みの福井銀行と高岡信用金庫はいずれも、全国
的に多数派の「指先」を選択。北國銀行が今年十一月、金沢信用金庫が来年一月をめどに
「指先」方式の導入を決めたほか、北陸信用金庫が来年度にも導入する予定。北陸銀行な
ども検討を進めている。
指先の生体認証カードは、ATM(現金自動預払機)の読み取り機に指先をかざし、事
前にICチップに登録したデータと照合する仕組み。双子でも異なるとされる指先の静脈
パターンを利用するため、偽造や盗難カードによる不正引き出しを防ぐことができる。
北國銀行は十月から、ATMの入れ替えを始め、ほぼ全台となる約四百五十台を来年三
月末までに、生体認証対応機に切り替える。同行はまず、クレジット、キャッシュ、ロー
ンのカード機能を併せ持つ「北國Multi ONE(マルチワン)カード」を無料です
べて生体認証用と交換。十一月中には利用できる見通しだ。
生体認証カードの安全性が高いことに着目し、福井銀行と高岡信金は、一日あたりの引
き出し限度額について、旧来の磁気ストライプ型カードと差を付けた。今月下旬から、生
体認証取引を二百万円に引き上げ、それ以外の取引を五十万円に引き下げる高岡信金は「
安全性が高い生体認証カードを使ってほしい」と呼び掛けている。
ただ、手続きは磁気カードよりも面倒だ。店舗でカード切り替えの手続きをした後、生
体認証カードが郵送され、そのカードを持参してもう一度窓口に行き、静脈パターンをカ
ードのICチップに記憶させる必要がある。また、五年ごとの更新が必要で、福井銀行と
高岡信金はともに千五十円の更新手数料を設定している。
北陸の金融機関が発行する生体認証カードは、磁気ストライプとの併用型で、生体認証
に対応していないATMでも利用できるが、磁気型専用のATMに限っていえば、犯罪リ
スクは旧来カードと同じになってしまう。
生体認証の導入にはまとまった投資が必要になるため、「ATMの更新時期に導入を合
わせる金融機関が多い」(関係者)とされる。安全性をさらに高めるには、生体認証に対
応するATMの早期拡大が不可欠といえそうだ。