北陸の企業が、新興国の有力グループ「VISTA」(ベトナム、インドネシア、南ア
フリカ、トルコ、アルゼンチン)に視線を向け始めた。最も有望視されるベトナムでは、
三谷産業(金沢市)が子会社の五十人増員を計画し、北陸銀行は政府の投資担当省と協定
を結んで取引先の支援体制を整えた。トルコの市場を狙って現地法人と手を組む地場企業
もあり、中国一辺倒だった海外進出の潮目が変わってきた。
「VISTA」は、成長が著しい五つの新興国の総称で、ポスト「BRICs」(ブラ
ジル、ロシア、インド、中国)の最有力グループとされる。特にベトナムは近年、7%前
後の高い経済成長を続け、「VISTA」の中でも注目度が高い。
三谷産業は今年、設備工事CADのベトナム子会社の事業を拡大する。ホーチミンの本
社は七十人から百人、ハノイ事務所は五人から二十人程度に増やす。日本の建設関連需要
の増加に対応するためで、樹脂成形の現地子会社でもハノイ近郊に新工場を計画している
。
ベトナムは親日的な国民性と、安価で質の高い労働力が魅力とされる。三十一日、金沢
市内で開かれた北陸銀行のベトナム投資セミナーで、三谷充社長は「中国は秩序なき経済
開放だったが、ベトナムはゆっくりだが確実に、混乱なく発展している」と、同国の投資
環境の良さを紹介した。
高松機械工業(白山市)は今期、ベトナムへの工作機械の販売額が前期より倍増する見
通し。東亜電機工業(金沢市)は現地で、建設機械向けワイヤーハーネス(組み電線)を
生産する計画を進めている。
トルコには、有望市場になるとみて進出する企業が目立つ。
小松精練(能美市)は昨年五月、イスタンブールで現地の繊維企業と代理店契約を交わ
した。同国の購買力が高まることを見越し、自社の衣料素材を商社経由でなく直接販売す
るのが狙いだ。同社は「トルコの代理店は東欧の販路開拓の拠点にもなる」とする。
トルコの商社とディーラー契約を結んだのは、中村留精密工業(白山市)。自動車メー
カーの現地工場で需要が見込めると判断したためで、販売代理店契約への格上げも検討し
ている。
コマツ(東京)は、イスタンブールに建設機械のサポートセンターを開設した。また、
南アフリカでも、鉱山向けを中心に需要が伸びるとみて粟津工場(小松市)で生産する建
機を拡販する。
インドネシアでは、大同工業(加賀市)が子会社でバイク用のリム(車輪)を生産。伊
藤忠商事金沢支店は昨年から、同国の提携工場で、中東女性の民族衣装の織布をつくり、
石川、福井の染色工場で加工、再輸出をしている。
北陸銀行のセミナーで、同行と業務協力協定を締結したベトナム計画投資省のグエン・
ビック・ダット副大臣は「大企業だけでなく、当地の中小企業や、すそ野産業の投資も待
っている」と、北陸の中小企業の進出を呼び掛けた。
北國銀行もベトナム投資をテーマにしたセミナーを開くなど、進出支援の動きも活発に
なっており、新たな投資先として「VISTA」への関心が高まりそうだ。