北陸の繊維産地が“郵政特需”に沸いている。日本郵政は民営化に伴って三十万着余り
の制服を一新する計画で、石川、福井の繊維関連企業に大量の注文が舞い込んでいるとい
う。衣料生産の国内回帰の流れもあり、産地の各工場は「久方ぶりの増産」(関係者)に
追われるが、特需が切れる春以降、仕事量を確保できるかどうか、懸念する声も出ている
。
二十四日、中小企業金融公庫金沢支店が発表した昨年十―十二月の景況調査で、北陸の
繊維業の業況判断指数は、前期のマイナス六・七からプラス一四・三と大きく改善した。
会見した藤原勉支店長が“繊維復調”の要因として挙げたのが、「郵政のユニホームの大
量受注」である。
日本郵政は、民営化後の職員の制服について、四つの事業会社別にデザインを変え、一
年半分を一括調達する方針だ。制服の新調費用は総額で約百四十億円。常勤職員だけで二
十五万人以上という大型商談となり、昨年末までに入札、発注を終えたという。
デザインなど詳細は、日本郵政は今春にも開く発表会まで社外秘としているが、業界関
係者によると、今回はウール素材より合繊素材を多く採用するとされ、それが、合繊産地
である北陸に特需をもたらしたようだ。
北陸の受注先は糸加工、織布、編み、染色加工と、幅広い業態にわたっている。
帝人ファイバー北陸営業所(福井市)は「石川の糸加工会社にかなりの大量発注をした
」とする。作業用ユニホームを手掛ける創和テキスタイル(羽咋市)は生地の生産を急ピ
ッチで進める。小松精練(能美市)にも、二種類のユニホームの加工注文が来ている。
大手合繊メーカーによると、北陸の織布業者の稼働率が上がってきたのは、昨年秋ごろ
から。年末の郵政特需に備え、定番製品の生産を前倒ししたためという。「繊維業界では
長年、廃業が続き、生き残った数少ない企業に発注が集中する」(関係者)という事情も
ある。
ただ、大手商社の地元幹部は「生地の製造が春ごろに終わると、今の勢いがあっという
間になくなるかもしれない」と危惧(きぐ)する。暖冬で冬物衣料の売れ行きが伸び悩ん
でいることもあり、「まだ先行きを楽観できる状況ではない」との見方もくすぶっている
。