十八日、日銀の金融政策決定会合で追加利上げが見送られ、北陸の企業や金融機関の間
では「ひとまず助かった」と安どのムードが漂った。将来の利上げを見越し、地場企業は
資金調達や負債圧縮を急ぎ、住宅メーカーは「今のうちに」と短期決戦で営業攻勢を掛け
る。地方銀行は貸出金利への転嫁が追いつかず、追加利上げを警戒している。
「今、利上げされたら、利ざやの低迷に追い打ちを掛けられるところだった」。北陸の
地銀の法人担当者は、追加利上げの見送りに胸をなで下ろす。
昨年七月のゼロ金利解除を受け、北陸の地銀は昨年九月に短期プライムレート(貸出優
遇金利)を一斉に引き上げたが、まだ取引先との利上げ交渉が完全に終わっていないのが
実情だ。
金融機関からは「金利の上昇局面には(預金の利上げに比べ)貸出金の利上げが遅れる
傾向がある。短期的には、収益のマイナス要因になる」(北國銀行の安宅建樹頭取)と、
追加利上げを懸念する声も漏れる。
持ち直してきた企業の資金需要にも、冷や水となりかねない。追加利上げにより、企業
の設備投資が減速し、借入金を圧縮する動きが広がれば、融資先の確保に向けた金融機関
の争いが一段と激しくなる展開も予想される。
二〇〇六年九月中間期は、貸出金が伸びた地銀が多く、金利の先高観を背景にした企業
の駆け込み投資の側面もあるとされる。「利上げ先送りが経営サイドの駆け込み心理をあ
おり、一時的には資金需要が増えるかもしれない」との観測も流れている。
北陸の企業の間では、追加利上げの見送りについて「消費の動きが弱いのに、利上げを
急ぐ必要は全くない」(澁谷弘利石川県鉄工機電協会長)と歓迎ムードが強い。
追加利上げは、多額の負債を抱える企業の資金繰りを圧迫しかねず、十八日、金沢青年
会議所の新年互礼会であいさつした深山彬金沢商工会議所会頭は「会議所の会員は中小企
業が多く、追加利上げが先送りになったことは良いことだ」と語った。
金利上昇リスクを回避しようと、私募債や社債で早めに資金を調達する動きが加速しそ
うだ。
日成ビルド工業(金沢市)は昨年十月、総額十一億円の私募債を発行し、運転資金を調
達。また、長期借入金を圧縮し、〇六年九月中間期末で三億二千八百万円と一年前より十
億円以上減らした。北陸電力は、今期の社債発行額を当初計画より三百億円増やし、設備
投資や既存社債の償還に必要な資金を先行調達している。
追加利上げは、高水準の設備投資にも影響を与えかねない。「0・25%程度の上げ幅
なら、実施されても影響は小さいが、新規の設備投資には心理的なマイナス要因になる」
(伊藤勝信タケダ機械社長)との見方もあり、当面は利上げの動きをにらみながらの舵取
りを迫られている。
北陸の住宅メーカーは、追加利上げの見送りを商機ととらえる。
石川県木造住宅協会の村上紀夫会長は「今回の見送りは、近々上げるぞという信号。ロ
ーンの金利がもうすぐ上がることを客に伝え、需要を掘り起こしたい」とし、利上げ間近
をアピールして営業を展開する考えだ。
プレハブ建築協会北陸協議会の中村泉会長も「見送りはありがたい。一時的にせよ、購
買意欲を刺激するのではないか」と、駆け込み需要の拡大に期待している。